大学訪問記⑤

大学訪問記⑤

同袍寮訪問編

~同袍寮への道~


 

①同袍寮

 

 

 

 

 

 

 

 

<同袍寮近影2016年2月>

 

2016年2月13日(土)朝から市内観光を行い、高松の池をあとにした、我々H4年卒業メンバーとK畠氏(現在盛岡在住で入学は一緒だったはずだが何故か人とは違う進路に進んだ同期生)は、同袍寮に足を向けた。K畠氏の非常に大きな車で国道46号館向から、キッチンアベで洗面器大の器で供される大盛りカツカレーで満たされながら車で帰るかのようなルートで同袍寮に向かう。相も変わらず農学部の実習農場の傍に佇む寮は20年以上前の様相と全く変わらない姿で我々を迎え入れてくれた。実習農場と寮を分かつフェンスの看板には、『ここは農学部の実習のための農場です。勝手に作物を取らないように。』との注意書きが。背に腹は代えられない状況があるんだろうなぁと時代を超えて成長しない同袍寮生という、どうしようも無い時代を生きなければならなかった先輩後輩に思いを馳せてしまう。

中に入りたい!

さて、自分が寮生であった頃は外部からの来訪者は総務部が迎え入れたり、18時を過ぎれば当時電話番として玄関脇の放送室に控えていた寮生が対応し寮内放送で呼び出してくれていたであろう。『414室の〇〇さんお電話です!』とは皆が羨む寮内放送であったことは説明するまでもあるまい。

数年前に寮に改修が入り、自治寮としてのシステムが様変わりしたことは情報として入ってはいたので、我々の訪問をどんな形で迎え入れるのだろうか楽しみであったが、初っ端から我々の期待を挫くような事態に遭遇する。なんと、寮の入り口にテンキーが設置され暗証番号を入力しないことには玄関すら越えることができない状況であった。『むう…。』元寮生4人は茫然自失となってしまった。コンプライアンスだのガバナンスだのと世間が騒がしいが寮までセキュリティがこんなに厳しくなっているとは…。最早これまでかと思いつつも、何とか中に入れてもらうために玄関に寮生がいないかと必死に寮の中を覗きこむ。

 

②覗き込む不審者たち

 

 

 

 

 

 

 

<中を覗き込む不審者たち>

 

そうだ!非常階段から入れんじゃね?と4人の中で最も非常識な筆者が、かつて、部屋の後輩・伊藤某とオクラをカセットコンロで焼きながら日本酒を飲んだ非常階段からの侵入という非常識を遥かに超えた犯罪的な発想に皆が呆れ返る。覗き込んだところで侵入できないことは明白なので何かネタがあるかもしれないと侵入する気はないものの皆が非常階段に向かう姿に、誰もがやりたくはないのに空気を読んでいるうちに戦争に向かっていった1941年の空気を感じ取ったのは私一人ではなかったはずである。

 

非常階段下には立て看板の残骸があり、寮祭の文字がみえる。そう寮祭はまだ続いていることがここで判明する。寮祭の宣伝のために1年生は仮装をして盛岡市内中心部を練り歩く。自分を含む3階の寮生は伝統的に女装と決まっており、どこから集めたのか大量の女性の服から自分の体がおさまるものを選び化粧をしてゴールの岩手公園まで歩いたことを思い出した。2階の住人であったTZとE藤、k畠氏はオバケだった。伝統的に2階は南方の土着人の仮装で彼ら3人は全身真っ黒になっていたはずだったが、平気で伝統をぶち壊す芯の強い同期だったのだろう。ほどなく3人とも寮を出て行くのだが結果がそれを物語っている。

 

③寮祭看板

 

 

 

 

 

 

 

<非常階段下に打ち捨てられた寮祭の立て看板>

 

 

遂に潜入

④侵入を思いとどまる二人

 

 

 

 

 

 

 

<非常階段からの犯罪的侵入を思いとどまった筆者とTZ>

 

非常階段からの非常識な侵入(犯罪行為)を思いとどまった我々は玄関で寮生が出入りするのを待った。寮生を捕まえればいろいろ話が聞けて、寮の中に入れてくれるだけじゃなく、きっと部屋にも招待してくれるはず!と都合の良いことを夢想しながら待つこと数分、外出から戻ってきた第一寮生を発見する。彼に我々は怪しいものではないことを告げ、寮の中に入りたい旨を伝えると「管理人が、管理人が…」と連呼する。どうやら管理人が訪問者の受付をしているようで、普段はかつて放送室であった場所に常駐しているらしい。しかし、管理人が不在で彼にはどうすることもできない様子であった。しばらくすると第一寮生の背後から中年女性が近づいてきたので管理人か?と思ったが、第一寮生の母親だった。荷物を運び入れる彼らの後を自然とついていく形となり、遂に同袍寮の玄関に侵入することができた。

 

 

玄関から居室まで

⑤玄関

 

 

 

 

 

 

 

<こぎれいな玄関。正面の白板の張り紙を読みたい!>

 

⑥旧同袍寮看板

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

⑦告白箱

 

 

 

 

 

 

 

告発箱の存在が我々をザワザワさせる。

玄関の作りは当時とほとんど変わっていないが、とても綺麗になっていた。玄関左には昔の寮の看板が置いてありその奥に管理人室(元放送室)がみえる。右に下駄箱、正面に階段があり。構造はかつてのままのようだ。

第2、第3寮生からそっけない対応の後、我々を救済してくれる第4寮生と遭遇することとなる。第4寮生が外出から戻ってきたところをTZが、怪しいものではないから中に入れてくれと交渉を始める。さらに君の部屋も見せてくれないか?怪しいものではないから、と畳み掛ける。こういった厚かましさはTZはお得意なところ。同席したK畠氏の方が厚かましさでは飛び抜けているが、相手に対する威圧感が半端ないのでTZに任せて正解だった。第4寮生はいかにも怪しい同袍寮OB4人組に取り囲まれても怯えることなく、我々の要求を快諾してくれた。彼は教育だか人社の学生で、同袍寮はもはや工学部だけの寮にはなっていない事が判明する。彼は仮装的には南方の土着人の階の住人で、寮長部屋と同じフロアとなる。第4寮生に案内されるがままに彼の部屋へ侵入する。改修前は4人部屋であったが部屋の真ん中に壁を作り左右に出入り口を新設することで個室を構成してる。水周りも完備され我々の頃を考えると快適性は段違いである。。

 

⑧部屋内部1

⑨部屋内部2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<現在の部屋 (同袍寮Facebookから)>

 

⑪旧文化部部屋

 

 

 

 

 

 

<比較のため改修直前(2010年)の文化部>

⑩旧洗面所

 

 

 

 

 

 

 

 

<2010年頃の同袍寮洗面所>

 

我々の時代の水周りは本当に酷いもので、参考資料のように、よく病気もしないで卒業までの4年間(一部の人は8年間)もの間、生きのびたものだと考え深いものがある。

よく食中毒が発生しなかったものだ。結構人間って強い生き物なのでしょう。

部屋まで案内してくれた第4寮生に丁寧に礼を伝え、自啓寮との共通スペースへ向かう。

 

オッス!

部屋を去り1階へ向かう道すがら、第5寮生とその母親が階段を上がってきた。我々が寮生の頃はこんなに酷いところなんかとてもじゃないが親に見せられないなぁと感じていた。大抵親が来るのはパチンコやバイトに耽り、学校に行かなくなった学生を叱りつけにやって来るものだと相場が決まっている。きっと、彼もそうに違いない。第4、第5寮生がすれ違いざまに発したのは『オッス』だ。懐かしい!。一気にあの時代に引き戻されてしまった。オッスだ、オッスだ!と大男4人が女子高校生のようにキャッキャ騒いでいる姿に、第5寮生親子は怪訝な顔をしながら部屋へ消えていく。

掲示板、ポスター、告示

玄関に戻ろう。玄関には様々なポスターや、張り紙が掲示している。我々の頃と特に違うのがお酒に関するものだ。至る所に無理な飲酒や未成年に飲酒させないなど、昔は言われなくてもしっかり守られていたルールをあえて掲示するとは(^_^;)。

 

⑫掲示板

 

 

 

 

 

 

 

<注意喚起の張り紙>

 

⑬昔の掲示

 

 

 

 

 

 

 

<比較のためかつての食堂の注意喚起 『告』>

 

一方、玄関正面のホワイトボードには寮生大会の告示が掲示してあった。寮生大会では一体どんな議題で盛り上がるのだろうか?我々の時代は芝生問題であったり、駐車場問題であったり、途中のアタック休憩を挟み、3時4時まで盛り上がっていたものである。

役員の打ち上げは客が居なくなるまで店を開けてくれる楽園こと光楽園。ベロンベロンになった役員全員で紅梅寮までとつげきしたものであった。

⑭寮生大会告示

 

 

 

 

 

 

 

<寮生大会の告示>

 

また、自啓寮との間で問題が起きると寮長同士の手打ちとなるが、そのほとんどが問題を起こした寮生の反省文を掲示することになってる。我々が訪問した際には残念ながら反省文は見当たらなかった。今時の学生同士でどんなイザコザがあるのだろうか?

 

共通スペース

さて、玄関周りに面白いものが見当たらなかったので自啓寮との共通スペースへ向かう。かつては食堂と風呂、活動室だったかな?があった場所である。

 

⑮かつての風呂

 

 

 

 

 

 

 

<比較のため、かつての風呂>

 

風呂場はランドリー室とシャワー室に置き換わっていた。ランドリー室は広々として元風呂場の雰囲気が少しづつ残っていたように感じた。また、とても清潔感がありこれくらいきれいじゃないと若い人の寮離れに歯止めがきかないのであろう。(寮離れなんてあったけ?という疑問はスルーします。)

 

我々不審者がシャワー室でホホーン⤴と怪しく感心していると第6寮生が、オッスっと心なしか誰だ?こいつらという顔を見せつつもシャワー室に消えていった。これから合コンでもあるのだろうか、夜に向けてしっかり磨いて同袍寮魂をギャルに見せつけてほしいものだ。

 

⑯ランドリー室

 

 

 

 

 

 

<風呂場だったところはランドリー室(乾燥機ありました!)>

 

⑰シャワー室

 

 

 

 

 

 

<ランドリー室手前のシャワー室。第6寮生が磨いています。>

 

 

退散

⑱科会メンバー

 

 

 

 

 

 

 

<科会東京支部メンバー(LtoR:TZ、E藤、筆者)>

 

同袍寮を探索しきり、科会支部ホームページ用のネタの撮れ高も十分に確信した我々は、足早に退散するべく玄関へむかう。この後は、寮生御用達、明月館で冷麺を食べて、TZ、E藤がバイトしていた肴町や八幡へ向かうことを話しつつ一目散で退散するのであった。

 

つづく